【若い力91号】神戸が誇る「王子動物園」&「須磨海浜水族園」

神戸が誇るどうぶつ施設、王子動物園&須磨海浜水族園。

子どもの頃の遠足や青春時代のデートスポット、親子のだんらんと
神戸っ子はこの2施設と共に成長していると言っても過言ではありません。
共に60年を越える歴史を誇る2つの施設が、どのように神戸のまちに寄り添い歩んできたのか、
その魅力と影にある努力に迫ってみました。

【神戸市立王子動物園】

1951年に開園し、今年66年を迎えた王子動物園。神戸市民なら一度ならず、何度も足を運んだことがあるはず。園内では約130種800点の動物たちが暮らしています。なかでもパンダとコアラを同時に見られるのは国内ではここ王子動物園だけ。全国の動物園ファンにとっても魅力的な園です。多くの人々を癒し、楽しませてくれる王子動物園が市民に愛される存在でいるために、どのような工夫や努力をされているのでしょうか。副園長・花木久実子さんにお話を伺いました。


Q 6年愛される施設であり続けるために気をつけてきたことは?

A 園がここまでこれたのは、神戸市民のみなさんが足を運び、愛してくださったことに尽きますね。多くのリピーターさんに支えられていることを実感しています。
園の取り組みとしては、できるだけ費用をかけずに少しずつでも目新しいものをつくるようにしています。開園当初の昭和の香りも残しつつ、新しいことにも挑戦しています。

 


Q 10年前、20年前と変わったところはありますか?

A ゾウ舎にシャワー付き日よけを造ったり、ホッキョクグマに人工降雪機を買ってあげたり。お客様の目線と同じ高さでキリンが食事をする「きりんテラス」も新設しました。
お客様に向けては、トイレや授乳室のリニューアルなど、どなたでも快適に過ごせるよう設備を整備しています。

Q 園の運営に携わっていて思い出深いことはありましたか?

A アジアゾウ・結希(ゆうき)の誕生でしょうね。うちの園にはマックとズゼという仲の良い夫婦のアジアゾウがいます。これまで3回出産しているのですが、2回は人工飼育に失敗してしまって。3回目に千葉にある「市原ぞうの国」にサポートをお願いして、千葉で出産させたんです。結局ズゼは自分で子育てができなかったのですが、市原ぞうの国にいる「プーリー」という象がお母さん代わりをしてくれています。市原ぞうの国では、結希より少し前にプーリーが生んだ「りり香(りりか)」という女の子がいるのですが、彼女が「結希にお乳をあげて」とプーリーに頼んでくれたんですよ。今、3歳になって、この6~7月に3週間、一時帰園したのですが、元気な姿を神戸市民に見てもらえて本当に嬉しかったです。

 

Q 今後の園の展開や課題について教えてください。

A これからも市民に身近な動物園であり続けたいと考えています。今、動物園は過渡期に入っているんです。動物の園内繁殖はとても難しい課題ですし、人気の動物は国内の動物園同士の貸し借りもなかなかできない。お金を出して購入することも困難になってきています。20年、30年先にどうやったら動物の飼育が続けられるのかを考えていかないといけません。動物目線での強化がもっと必要になっていくでしょうね。

 

■神戸市立王子動物園

▼お食事タイム
パンダ/10時、11時45分、13時30分、15時
ゾ ウ/11時30分、15時、16時
コアラ/11時

▼ゾウさんのトレーニングタイム
毎日14時30分ごろ

▼動物ガイド
毎月第1・2日曜、第3・4土曜(1・2・7・8月は休止)

▼公式サイト
http://www.kobe-ojizoo.jp/

 

【神戸市立須磨海浜水族園】

「スマスイ」の愛称で市民に愛されている須磨海浜水族園は、今年開園60周年のアニバーサリーイヤー。旧須磨水族館時代を経て、動物たちの生き生きとした様子を間近に感じられる施設として、様々な取り組みを行ってきました。日本近海はもちろん、世界中の海に暮らす魚や動物たちの生態を間近で観察できる水族園。その多岐に渡る園の取り組みについて、もともと神戸市職員(水族園学芸員・観光交流課)でありながら、平成22年にスマスイが指定管理者制度により共同事業者運営となった後は神戸市を退職してスマスイに再就職。現在『スマスイのカリスマ広報マン』としてご活躍中の須磨を愛しすぎた男こと飼育教育部部長・大鹿達弥さんにお話を伺いました。

 

Q 魅力的な水族園であるために、意識していることは?

A アナログ的な魅せ方と新しい取り組みの共存を意識しています。ご年配の方には昔ながらのいわゆる「汽車窓式」という壁にガラス水槽がズラッと並んでいるスタイルのほうが落ち着く。だから、あえてアナログ感も残しています。逆に若い人たちにとってはイルカやアザラシのタッチなどエンターテイメント性のある部分が楽しい。両方を大切にした「3世代の方々が楽しめる施設」でありたいですね。


Q 多くの人が訪れる施設として工夫していることは?

A おかげさまでスマスイは神戸で一番集客のある施設なのですが、子どもたちは高校に入った頃からしばらく足を運ばなくなる。時折デートで、そして次は子どもと一緒に。その次は孫ができたとき…と来園頻度に波がある。少し足が遠のいてしまう若い世代にも来てもらえるように、夜間営業やイルミネーションなどを行っています。

 

Q 水族園ならではの取り組みにはどのようなことがありますか?

A 近年は調査研究の意味合いが大きくなり、野外での生息調査なども増えました。スタッフには園内にいるだけでなく、どんどん外に出ていくよう言っています。
生態系や環境保全などの取り組みも増えていますね。例えば外来種のミシシッピアカガメを市民の方に捕獲して園に持ち込んでいただくと、入園券と交換します(期間限定、2017年度は終了)。ヒアリングをすることで、生息地域が把握できる利点もあります。

 

Q これまでの歴史の中で思い出深いことはありますか?

A 良い思い出ではないですが、やはり阪神淡路大震災ですね。水槽は機械で循環しているので、電気が止まると維持できない。ほとんどの魚が死んでしまいましたから。ライフラインに頼っている施設であることを改めて痛感しました。一生忘れることはできませんね。

Q オススメの生き物などいたら教えてください。

A シノノメサカタザメ(エイの一種)に子どもが生まれて秋まで展示しています。知られていないですが実は日本初なんです。色々な生き物を見てもらいたいですね。それと実は水族園は冬がオススメなんです。室内なので暖かいですし、空いている。穴場なのでぜひ冬にも遊びに来て欲しいですね。

 

 

■神戸市立須磨海浜水族園

▼特別展「スマスイ開業60周年展-神戸の海と生き物とともに-」
平成30年2月12日(月)まで

▼イルカライブ
11時、12時30分、14時、15時30分※

▼さかなライブ
11時30分、13時、15時

▼ラッコのお食事ライブ
10時15分、13時15分、16時
※トレーニングライブ

【有料イベント】
イルカタッチ、アザラシタッチ、ペンギンのえさやり体験も毎日開催
リクガメの餌やり体験 土日祝開催(冬季休止)

▼公式サイト
http://sumasui.jp/
〈ライブ・イベントは季節によって変更あり、詳細はホームページをご確認ください。〉

 

 

 

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