WAKAICHIKARA 2019 vol.94
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 1つ目のターニングポイントは、高校を卒業して同志社大学に入学したことです。高校での練習はコーチによる指導が中心でしたが、同志社大学に入ってからは年次に関係なく意見を出しあって学生主体で練習することができました。自分に何が必要かを考えて、朝から晩まで自由な時間に練習する環境で、自身の成長に大きな影響を与えたと感じています。 2つ目のターニングポイントは、大学3回生の時に1年間の休学をしたことです。当時は就職をして競技を続けていけるほどの力はなかったため、1年間の休学をして猛練習をすることを決めました。その練習の結果、日本代表になることができれば、就職しても競技を続けることができると考えたからです。これは自分にとって大きな決断でした。休学時には、兵庫県芦屋市で元日本代表の丸山孝二氏に師事していました。この時期が今までで最も過酷な練習をしたと自負しております。この時に培った基礎的な体力と技術力が、現在の自身を支えているといえます。結果として、大学生の日本代表選手として選ばれ、初の海外遠征を経験し、上達するきっかけを得ました。 3つ目のターニングポイントは、サコス株式会社に入社したことです。学生時代には、日本代表の海外遠征がある際に一緒に行かないかとの誘いがあったのですが、多額の遠征費を自己負担しなければならず、断念した経緯がありました。しかし、サコスに入社した今では、遠征費や日頃のサプリメントや練習後のケアなどの費用を会社に負担して頂いています。そういった会社からのサポートを通じて、更なる自己成長と今日までの競技結果があるものだと感謝しています。国内と世界の大会の違いについて レース展開が大きく異なっていると感じています。国内の大会では、自分のペースで競技に取り組む中で結果を出すことができていましたが、世界の大会では、それだけでは戦えません。スタート時点から必死に食らいついていかないと、後半からの追い上げも厳しいと思います。レース展開が異なるということは、国内と世界の大会では、その体力・技術力が大きく違うという事だと思っています。5月に行われた■プロフィールディーン元気(ディーンゲンキ)出身地:兵庫県神戸市出身高校:尼崎高等学校出身大学:早稲田大学所属:ミズノトラッククラブやり投げで東京五輪出身を目指す。陸上競技を始めたきっかけを教えてください。 小学校でやっていた野球をやめ、兄の影響で中学生から陸上競技を始めました。当時、兄は砲丸と円盤投げなどしていましたので、その影響です。中学から始まった陸上競技人生で、ターニングポイントになった時期はありますか? 中学から高校、高校から大学と、進学の度に良い指導者に恵まれました。進学という節目で恵まれた環境と相性の良いコーチ達に出会えたことで自分を伸ばすことが出来たと思っています。近年のご自身のストロングポイントはどんなところでしょうか。 体力ですね。この数年、調子が上がっては怪我を繰り返していましたが、記録こそ伸びていませんが今年は試合数をきちんとこなせており、充実したシーズンを過ごせています。試合数をこなせているという事ですが、国内試合と国際試合の違いはありますか? 自分としては、国際試合では必ず決勝に進んで勝負を出来ており、結果を残せています。感じる違いは「陸上」という文化が海外に比べて日本には浸透していないという点で、ここ一番での盛り上がりに欠けます。国内で強い選手は知っている人ばかりですが、海外では知らない実力者もいて、そういう選手達と勝負を出来ることで、テンションは上がりアドレナリンも出ます。「陸上」という文化が浸透していないという話が出ましたが、陸上競技を見ている観客に温度差はありますか? あります。短距離は顕著で、例えば桐生さんが10秒01で走った時にはすごい記録なのに勝ったか負けたかだけで「あ〜」と言われてしまいます。海外では、自国の選手じゃなくても記録がでればドカンと盛り上がります。そいう意味で海外の方は陸上自体をよく知っているなと感じますね。そう考えると、観客を盛り上げるという選手の能力もあるかと思いますし、そういった薄い反応を鵜呑みにせず、自分のパフォーマンスに集中して競技できる選手が強い選手だと思います。オフの過ごし方を教えてください。 最近の趣味は海釣りですね。(笑)海に行ったり、山に行ったりと神戸のあちこちに出かけて満喫しています。去年は全力を出すと怪我をしてしまうコンディションだったので、いい意味で競技を全力でし過ぎない程度に息抜きをするように心がけています。しっかりと体のバランスを整えてから全力で競技に集中するように段階を踏んでいますので、今年はうまくオフで調整出来ています。選手として活躍した先での、ご自身の展望をお教え下さい。 自分がやってきたことを活したいと思っていますが、それ以上に自分が陸上をしていて結果だけでなくそれまでの過程にも注目され、その姿を見ていただいた方に勇気を与えられるような選手になりたいと思っています。投げて、投げて、次の世代の子たちの刺激になるような競技人生にしたいです。その結果次第で引退後の道は開いていくと思っています。やり投げ人口を増やしたいですね。最後になりますが、神戸市民やファンにメッセージをお願いします。 東京オリンピックまで1年と迫ってきました。自分のやり投げで、神戸を「元気」づけられるように頑張ります!応援宜しくお願いします!ワールドカップを通して、スタートの技術が向上していることを実感できましたが、スタート後にどれだけ「楽に早く漕げるか」が自身の課題だと思っています。8月の世界選手権で好成績(5位以内)を残し、東京オリンピック代表枠の獲得に向けて技術を磨いていきたいと思います。競技中の見所 国内試合であれば、競技後半の追い上げが自身の強みだと思っているので、応援して頂ける皆さんにディーン元気やり投げは、そこを見て楽しんでもらえると嬉しいです。それを世界の大会でも同様に実践できるようになって、結果を残していきたいと思っています。2020東京オリンピックへの意気込み まだまだ自身の認知度が低いスポーツですが、是非、カヌーという競技を見て頂きたいです。神戸に良いニュースを持って帰れるように、オリンピックへの出場だけでなく、メダルを狙っていきますので、応援よろしくお願い致します。21Kobe JC Wakai Chikara Vol.94 2019

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