WAKAICHIKARA 2019 vol.94
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 SDGsとは? みなさんは最近SDGs(エスディージーズ)とういう言葉をよく見たり聞いたりするのではないでしょうか?SDGsとはSustainable Development Goalsの略で、日本語訳では「持続可能な開発目標」とされています。持続可能な社会を世界レベルで実現するため、2015年9月に国連サミットで採択された成果文書「我々の世界を変革する:持続可能な開発のための2030アジェンダ(通称:2030アジェンダ)」の柱として、世界共通の17のゴール(目標)と目標ごとの169のターゲットから構成されています。国連に加盟している193の国・地域が2030年を期限に達成を目指すよう合意された、世界共通の目標です。 持続可能って? ここで使われる持続可能とは、SDGsの取り組みが持続可能という意味だけではなく、私たちの生活や文化、更には地球自体が持続可能であるかという意味もあります。1972年、スイスの研究機関であるローマクラブが報告書「成長の限界」を公表しました。この報告書は「人口増加や環境汚染などの現在の傾向が続けば、100年以内に地球上の成長は限界に達する」という内容でした。この発表を皮切りに、物質的豊かさを求めて成長と繁栄の道を歩んできた世界は、初めて地球環境の危機を意識しました。これがSDGsの考えのきっかけになったと言われています。 在神企業の取組み 公益社団法人日本青年会議所は、日本で最もSDGsに取り組む団体を目指しています。我々一般社団法人神戸青年会議所もSDGsを学び、世界がめざす共通のゴールに対して自身ができること・するべきことを考え、そして青年経済人としてのスキルアップを図り、地域経済への貢献につなげるため、SDGsを4月例会のテーマとしました。例会では、UCC上島珈琲株式会社(以下UCC上島珈琲)のCSR(Cooperate Social Responsibility)「企業の社会的責任」担当者の方にご登壇いただき、SDGsに関する自社の取り組みについて、報告していただきました。UCC上島珈琲の企業理念である「Good Coee Smile」を実現するために、「良い原料を世界から」という直営農園による生産を実践されています。また、右の表で示すとおり、世界中の国で多様化を図りながらSDGsの17のゴールに近づいています。本頁ではジャマイカでの取り組みについてご紹介します。■ジャマイカでの取り組み 1728年当時イギリスの植民地であったジャマイカでは、イギリス政府によるプランテーション(単一作物の大規模農業)が行われ、急速にコーヒーの産業が広がりました。しかし、傾斜地が多く天候に恵まれない上に、奴隷制度の廃止で労働力が不足し、生産量は減少・品質の低下の一途をたどっていました。1981年・昭和56年にアメリカ・ジャマイカ政府から、日本農水省に栽培技術援助要請がありました。当時全日本コーヒー協会初代会長を務めていたUCCの創設者である上島忠雄氏の「ジャマイカに農園を持ちたい」という長年の夢と合致し、1981年にブルーマウンテンエリア西側、標高800~900mの位置に「UCCブルーマウンテンコーヒー・クレイトンエステート」を開設し、直接農園経営をスタートしました。 当初は現地での農園経営は容易ではなく山火事、干ばつ、ハリケーン、猛暑に加えて現地の労働者とのコミュニケーションの難しさに悩まされましたが、水質源保全、生態系の保全、廃棄物の保全などに取り組みました。これは「ゴール15森の豊かさを守ろう」にあたります。また、労働条件の改善・働きやすい環境を整備することで、ようやく社員と労働者との一体作業を可能となりました。開設当初は約33ヘクタールの総面積に35,000本のコーヒーの木を栽培していましたが、現在では約100ヘクタールの土地(東京ドーム約21個分)に13万本ものコーヒーの木を植えるまでに農園を拡張しました。まさに「ゴール17.パートナーシップで目標を達成しよう。」の目標である持続可能な開発に向けて実施手段を強化し、グローバル・パートナーシップを活性化させ「ゴール12つくる責任つかう責任」の目標である持続可能な消費と生産のパターン確保を実現したのです。世界が注目『SDGs』SDGsに取り組む在神企業生産国とともにUCC生物多様性宣言ジャマイカ UCCブルーマウンテンコーヒー直営農園での取り組みハワイ UCCハワイコナコーヒー直営農園での取り組みルワンダ 持続可能なコーヒー栽培の実現レユニオン島ブルボンポワントゥ再生プロジェクト資源を無駄なく製造・輸送での取り組みUCC環境目標CO2排出量削減・廃棄物再資源化ブラジル他 品質コンテストエチオピア 森林プロジェクト取り組みGOAL SDGsが革新的であるとされていることの一つに、いままで漠然としていた目標を「国連」が長期的かつ具体的な施策として明確なガイドラインとアイコンを発信したことがあります。SDGsは成果文書において「最高に野心的かつ変革的なビジョン」であり、「野心的な実施手段」なしには達成できないとされています。つまり、持続可能な社会を形成するには従来通りの改善では足りず、今までにない革新的な変革が必要であるということを意味しています。今、我々はこれを重要な施策として認識し、自分ひとりが何かしたところで何も変わらないという気持ちに変革を起こし、社会に貢献していくことが求められているのです。04Kobe JC Wakai Chikara Vol.94 2019

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