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2024年度 理事長基本方針
2024年度 理事長基本方針

 

THEME

 

The Experience

~未来へ紡ぐ体験を~

 

第66代理事長 森谷 圭

はじめに

 青年会議所に所属しているだけではまちの未来は変えられない

 そんな都合の良い環境はない

 謙虚な心を忘れず次代へ未来を紡ぐためにも、まずは「自分づくり」から始めよう

 1949年、戦後の混乱がまだ残る時期、「明るい豊かな社会の実現」を理想とし、有志たちによって東京青年商工会議所が設立され、この出発点から日本のJC運動は始まりました。それから9年後の1958年、全国で143番目のLOMとして神戸青年会議所が設立されました。
 「新日本の再建は我々青年の仕事である」とJC運動を興した背景は移ろえども、時代の変遷や急激な社会情勢の変化とともに「明るい豊かな社会の実現」を再定義し、地域を憂い、住み暮らす神戸のまちを想い、果敢に社会課題と対峙してきた先輩諸兄姉の功績が、今日までの神戸のまちの発展を支えてきました。
 先人達が努力して築き上げた今を生きる私たちは、一体どんな未来を次代に紡ぐことができるのでしょうか。個人の成長なくして、神戸のまちの未来を本当に語ることはできるのでしょうか。
 私は、JCという組織はメンバー一人ひとりの成長を通じてまちの発展に貢献し、それを未来へ紡いでいく団体だと考えています。活動において数多の機会があり、それらの「体験」を通じた学びを得ることで、意識が変わり、ひいてはまちにより良い変化を起こすことのできる価値ある人財へと成長することができるのです。私たちはこうした人財をリーダーと称しています。メンバーの成長を促し、まちにリーダーを輩出し続けることで、神戸JCがまちの未来を紡いでいく団体として必要な存在になると私は確信しています。

 今一度、謙虚な心で自分たちの足元を見直そう。
 誰かがやってくれる、そんな傍観者になってはいけない。
 さぁ、まちの未来を想い、まずは成長という「自分づくり」から始めようではありませんか。

 

会員拡大の推進はなすべき未来投資

 まちにより良い変化を起こすことのできる価値ある人財を輩出する私たちJCにとって、会員拡大は、その根幹となるものです。JCの理念や目的に共感し、共に行動できる人財を一人でも 多く増やし、まちの未来を考えることのできるリーダーへと成長を促す環境を整えることが、私たちのなすべき未来投資であると考えます。
 私たちJCは、社会の変化に柔軟であるために、メンバーそれぞれが輝けるような組織でなければなりません。輝く個性が調和し、幅広い人財が活躍できる組織であるためには、多様性を受け入れた積極的な会員拡大を行うことが重要です。そのためにも、各委員会と協力しながら戦略と行動計画を策定し、組織全体の担いである意識を改めて醸成することで、組織的な会員拡大を推進します。

 

KOBEをもっと好きになってもらうために

 六甲山と瀬戸内海に挟まれた自然豊かな風土、そして国際交流の玄関口である神戸港の存在によって育まれた受容の精神から、神戸のまちは異国情緒溢れる都市として発展をしてきました。洋風の建築物やおしゃれな街並みが現存し、それらが自然と融合する特有の文化は「神戸ブランド」として世界に誇れるものとなり、観光や文化交流を通じて多くの人に愛されています。
 「Autumn Festival in KOBE」は、神戸らしさを追求した多様な文化の発信にとどまらず、「神戸ブランド」に共鳴する魅力的なコンテンツを取り入れて発信することで、まちのにぎわいの創出に貢献します。そして、まちの回遊性向上を行政も課題の一つとして捉えていることから、都市型イベントとして、人の流れを創出する実証実験の場へとアップデートします。
 また、「Kobe Love Port・みなとまつり」は、神戸の海と港に対する感謝の気持ちを大切にし、それを市民と共有できる交流の場としてスタートしました。その創始の想いは脈々と今日まで受け継がれ、時代に応じた様々な価値観と融合することで、新たなまつりへと進化をし続け、毎年多くの来場者を記録するほど、神戸の夏の風物詩として広く親しまれています。様々なカウンターパートと連携し、市民生活の発表の場としてまつりを活用することで、次代の子どもたちを含む市民にとって夢や希望を育む、まさに未来へ紡ぐ体験の場として機能するようにします。

 

まちの未来は子どもの笑顔と共に

 AIやITの進化によって、子どもたちが生きていく未来は予測不能と言われる中、すべての子どもたちが創造性を身につけ、神戸のまちの発展に貢献できる人財を育むことは、JCのみならず地域社会を生きる私たち大人の責務と考えます。
 目標に対して粘り強く取り組む力、柔軟な思考力を持ち新しい価値を創造する力、多様性を尊重し他者と協働する力からなる「非認知能力」を育む取り組みを、神戸の自然環境を活かした体験型の事業として推進します。
 そして、「教育」は家庭、学校、地域の三者協働にとどまらず、社会全体で育み、推進する必要があります。JCには全国各地に志を同じとする仲間がいます。そんなJCが有する強みも活用した多様な連携によって、子どもたちが創造性を身につける機会を提供し、私たちも共に学び成長する「共育」を追求します。

 

絆を紡ぐ交流体験が私たちの財産だ

 神戸JCの先輩諸兄姉が長年にわたり、国内外の友好・姉妹JCとの交流を大切にし、友好関係を築いてきた歴史があるからこそ、私たちは今、さまざまな国や地域とつながりを持つことができています。この貴重なネットワークを活用し、国内外の仲間との交流をより深めることが重要であり、異なる文化や背景を持つメンバーが共に学び合い、刺激し合うことで、互いのまちの発展へとつながる成長に貢献することがまさに交流の醍醐味であると考えます。
 また、成長に貢献するという点で、JCには出向の機会も多く存在します。JCIや日本青年会議所、近畿地区協議会や兵庫ブロック協議会など、様々な国や地域のメンバーと共に活動することで、自身の視野を広げ、新たな学びや経験を得ることができます。こうした出向メンバーとLOMメンバーとの交流の機会を創出し、出向から得た学びを組織全体に伝播させ、成長を促進していきます。

 

組織のブランディングは幸せづくり

 まちにより良い変化を起こす団体として認知度や存在価値を高めていくには、ブランディングの真価を学び、発信を強化することでJCメンバーや対外の方々から共感と信頼を得ることが必要です。目指すべき相手に適切に届く、価値ある情報発信を行うためにも、情報の鮮度とタイミングを意識したブランディングマネジメントを推進します。曖昧なまま、ただ情報を流すのではなく、神戸JCならではの運動を発信することで、地域社会を巻き込んだ事業構築における協力依頼を円滑なものとし、また、対内のメンバーにとってはJCに対するブランドロイヤリティの向上にもつながります。
 毎月の例会は、インナーブランディング強化に大きな影響をもたらす重要な手法となります。メンバーにとって例会が、自身のリスキリングの機会として位置づけられ、 新たな知識やスキル、礼儀作法を学べるものと一貫性のある「例会ブランド」を構築することで、参加する意義と目的を明確にし、メンバー一人ひとりの成長を後押しする機会とします。

 

成長をもたらす組織の実現

 神戸JCの運動が最大限効果を発揮するためには、諸会議において議論を積み重ね、民主的に物事を決定するプロセスが重要です。効率的な会議運営のあり方を検討し、より良い運動をつくる貴重な時間となるよう、時代に即した組織運営を行います。そして、予算を執行するにあたっては、厳正な審査を行い、会計の透明化と財務体質の健全化を図ることで、組織の持続的な成長を支える基盤を築きます。また、社会が高度なコンプライアンスを要求するようになり、法令遵守や内部規律の厳格化だけでなく社会常識や社会的倫理にも反しないよう、リーダーとしてのあり方を追求します。
 2024年度、神戸JCは設立以後初めて、日本JCの会頭を輩出させていただきます。日本国内だけでなく世界もフィールドに活躍される会頭の貴重な体験が、私たちの組織に新たな学びと大きな成長をもたらしてくれます。その他多くの出向する仲間が、LOMからの温かな協力体制を感じられるよう、寄り添った支援を一層強化していきます。

 

結びに

 私は2017年にJCへ入会してからの7年間で、神戸JC・近畿地区協議会・日本JCと3つのステージで委員長職を経験させていただき、これらの機会が私にとっては「自分づくり」を体験する場となりました。

 [自身の未熟さを痛感した神戸JCでの委員長]  初めて委員長となった2020年、当時は神戸のまちの未来を考えることよりも、目の前の事業構築に必死な1年でした。自身の未熟さから、リーダーとしての成長を遂げていた先輩諸兄姉のアドバイスを謙虚に受け入れることができず、あの時こうしておけばよかった、という後悔が少なからず残っています。共に汗を流したスタッフやメンバーと育むことのできた友情は今でも宝物です。ただ、私はたった1度しかない神戸JCでの委員長という素晴らしい機会を通じて、神戸のまちの発展にどれだけ貢献することができたのか、自身の大きな成長にどれだけ活かすことができたのか、その確信を持つことができていなかったように思います。

 [体験を通じた学びを実感した近畿地区協議会での委員長]  神戸JCでの委員長を務めた翌年、私に新たな機会が訪れました。それは近畿地区協議会へ、総務委員長としての出向であり、総務の担いに加えて、広報の担い、更には近畿地区大会の運営も担当するという役割が多岐にわたるものでした。
 私は神戸JCの委員長として過ごした少しほろ苦い体験があったからこそ、同じ失敗を繰り返すまいと、より前向きな姿勢でこの役割を全うすることができました。地域の未来を共有できる新たな仲間との出会いもあり、切磋琢磨しながら運動を展開する喜びや楽しさを実感することができました。自身の成長に活かすことができなかったかもしれないと悔やんでいたあの1年間の体験も、因敗為成の徹底が大切な教訓として私の胸に刻まれていたのです。JCにおいて失敗というものはなく、その体験すらも成長の道標になることに気付くことができました。

 [JCの持つ無限の可能性を感じ、JAYCEEの使命に気付いた日本JCでの委員長]  日本JCには、日本の未来を真剣に考え、そして地域をより明るい豊かなものにすべく、夢を持ってJC活動に邁進するメンバーが大勢いました。そんなリーダーたる魅力を持った全国のメンバーと共に展開してきた運動を通じて、私はJCの持つ無限の可能性を感じました。
 青年に対してリーダーシップの開発を促し、体験を通じた成長の機会を提供するJCならできるかもしれない。私たちが住み暮らす神戸のまちの未来をより良くするという使命に気付き、傍観者ではなく私たち自身がより良い未来へと紡ぐんだ、という気概が醸成されました。

 青年会議所に所属しているだけではまちの未来は変えられない

 そんな都合の良い環境はない

 しかし、無限の可能性を持つJCで成長した私たちなら、まちの未来を変えることができる

 私たちには未来を共有できる仲間がいます。仲間と共に切磋琢磨する体験を通じて、学び、成長できる環境があります。そんな「自分づくり」を経た私たちの、神戸のまちをより良くするという想いが結集し行動を起こした時、その一歩が未来へ紡ぐ第一歩になると信じています。

昨日より今日
今日より明日の神戸のまちがより良くなるように。

The Experience
未来へ紡ぐ体験を

 

ABOUT JCI KOBE

神戸青年会議所について
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