2025年度 理事長基本方針
THEME
Captivate
~世界に誇れる神戸へ~
一般社団法人神戸青年会議所
第67代理事長 上根 彩
はじめに
あなたにとって魅力あるまちとは、どんなまちですか。
私が考える魅力あるまちは、「人々の心を惹きつけるまち」です。
人も、まちも、周囲を惹きつける力のあるものには、自然と人が集まります。
裏を返せば、どれだけ優れていても心を惹きつける魅力がなければ廃れていきます。
明治初期より西洋文化の入口として栄えた港町神戸は、様々な国籍・文化的背景を持つ人々が地域社会を形成し、発展してきました。穏やかな海と美しい山麓に囲まれた風光明媚なこのまちには、古くから多様な暮らしを受け容れるおおらかな文化や市民性が根付き、特別に取り繕うことをせずとも、触れた人々が魅力を感じるライフスタイルがあります。
しかし今、神戸のまちは多くの社会課題を抱えています。とりわけ少子高齢化・若者世代の転出超過が加速させる人口減少問題は深刻で、かつて人々を惹きつけてやまなかった国際都市・神戸としての気風に陰りが見えています。このような社会情勢にあるからこそ、私たちJAYCEEが率先してまちの未来を構想し、魅力あるまちづくりを追い求めていかねばならない、と私は考えます。
神戸青年会議所はいつの時代も明るい豊かな社会の実現を目指し、神戸のまちをより良くするため、主体的に行動を起こしてきました。先輩諸兄姉がその時々の社会課題に真摯に向き合い積み重ねられた功績によって、今こうして私たちは地域に根差した運動を展開することができます。
私たちが今ここに集うのは、神戸のまちをより良くするために他なりません。
まちを進化させるのは、私たちです。
訪れる人々を魅了するこの美しい神戸を、世界に誇れるまちへ。
世界から注目される集客都市へ進化
人々の往来の拡大は、地域経済にとって起爆剤であり、人を呼び込むことでまちは活力を得ることができます。日本が過去最高の訪日外国人客数を記録する中、神戸のインバウンド訪問率は隣接する大阪・京都に比べ3分の1以下に留まっています。神戸空港国際線就航の目途が立ち、ウォーターフロントエリアの新たな観光資源も完成間近となった今、私たちは地域経済の成長に繋がる新たな集客強化策を議論し、推進していく必要があります。多くの経済波及効果をもたらすインバウンド活性、国内旅行のポテンシャル向上を狙い、観光DXを通じた旅行者の利便性向上・消費拡大を図る取り組みを行うことで、持続可能な地域経済社会の実現へ繋げます。神戸に適した観光振興に取り組むことで地域経済を活性化させ、日本そして世界中の人々から注目される神戸を目指します。
まちの魅力溢れるフェスティバルの創造
地域に根付く魅力は、元来有している資源や価値に特別感を加えることでより効果的に発信することができます。神戸は、丘があり、街があり、そして海がある地形で、とても良い風が吹くまちです。2019年、国土交通省は「居心地が良く歩きたくなるまちなか」づくりを目指す方針を策定し、神戸市もこれに賛同して“Walkable推進都市”に名を連ねています。
オータムフェスティバルは、街路空間を利活用しながら、年ごとに異なる場所・趣向で開催してきました。本年は、都心三宮の再開発を進める行政の目的の一つでもあるナイトタイムエコノミーの活性に着目し、まちの滞在時間を増やし昼も夜も人々が歩き回って楽しめる回遊性のある仕掛けを目指します。
Kobe Love Port・みなとまつりは、海と港に感謝を捧げる夏祭りとして親しまれ、本年で開催24回を迎えます。市民の皆様はもちろん、観光誘客にも繋がるコンテンツを取り入れ、神戸のアイデンティティを感じながら色あざやかに夏を彩る祭りとします。
震災の教訓を受け継ぐレジリエントなまちへ進化
人々が安心して暮らし続けられるまちには、あらゆる地域課題や自然災害に適応するレジリエンスが備わっています。阪神・淡路大震災の発生から30年が経ち、震災を直接経験していない世代が市民の4分の1を超えた今、私たちは震災の教訓を受け継ぎ、災害に強いまちづくりを推進する必要があります。地域の自治体やカウンターパートとともに、災害リスクマネジメントの支援や有事の際の連携体制を構築し、まちのレジリエンスを強化します。
多彩な人財が集まる組織へ進化
人が集まる組織には、活力があります。JCは40歳までの青年団体であり、尚且つすべての任期は1年に限られます。これはJC最大の特性であり、だからこそ私たちは常に組織を若々しく保ち、新しい視点で未来を構想し、行動を起こすことができます。
私たちがまちに新たな価値を生み出し続けるためには、会員拡大による組織の活性化が必要です。多様な人財が加わり様々な感性や価値観が交じり合うことで、既存の考え方に異なる視点をもたらし、インパクトのある運動を展開することができます。まずは私たち自身がまちにより良い変化を起こせているかという原点に還り、人が集まる組織のあり方を追求します。一人ひとりがJCの魅力を語れる状態を創り出し、メンバー全員で会員拡大を推進します。
まちのニーズを理解し共感を生み出す組織へ進化
世の中でヒットする製品やサービスの裏側には、総じて優れたマーケティング戦略があります。一般にマーケティングの定義は経済活動を伴うものとされていますが、時代と共にその捉え方や考え方は変化しています。私たちにおけるマーケティング戦略は、地域社会のニーズを理解しそれに合致する組織の価値を創造することと定義します。どれだけ良い運動を展開していても、人々に認知され共感してもらうことができなければ価値があるとは言えません。マーケティングと連携した効果的な広報戦略で周囲とより良い関係性を築き、地域における神戸JCのプレゼンスを高めます。
透明性を確保した相互理解のある組織へ進化
質の高い運動は、盤石な組織基盤の上に成り立ちます。定型化した業務を受動的に行うのではなく、今ある前提を疑い、環境の最適化を目指すことで組織は成長を遂げることができます。
盤石な組織基盤には、組織運営や財務管理における透明性の確保が必要です。ではなぜ、組織には透明性が必要なのでしょうか。昨今、グローバルで先進的な企業の多くは可能な限り広く情報へアクセスできる状態にし、タスクの背景や過程を見せることを推奨しています。透明性の確保は組織内の信頼と誠実さの礎を形成し、カウンターパートとの関係を育むうえでも重要な要素です。オープンなコミュニケーションで互いを尊重し合う組織体制を確立し帰属意識を高めることで、メンバーが主体的に動くことができる組織を目指します。
持続可能なまちの成長を支える人財へ進化
優れたリーダーには、人を惹きつける求心力があります。人々の働き方や価値観が多様化しているからこそ、私たちは青年経済人として常に知識をアップデートし、時代に即したリーダーシップスキルを身につけている必要があります。有識者の知見やこれから社会の中心となるデジタルネイティブ世代の価値観を学び、メンバーの社業そして個人の成長へ繋げます。
また、地域の青少年が自己肯定感を高め、主体的に地域社会へ参画するきっかけとなる機会や世界で活躍するグローバル人財へ成長するための国際交流の機会を創出し、若者に選ばれるまちづくりの実現へ向けた取り組みを推進します。
例会は、多種多様なカウンターパートと連携し、神戸JCのアウターブランディングに繋がるものとして構築します。カウンターパートが関わることでその背景にある新たな人脈や知識の共有、客観的な事業構築を可能にし、イノベーションが創出されます。
多様な価値観に触れる交流機会の創出
組織の魅力は、人によって磨かれます。コミュニケーションが活発に行われる環境はアイデアの具体化や問題解決がスムーズで、信頼関係の醸成に寄与します。メンバー同士のコミュニケーションを活性化させることで相互理解を促し、多様な個性が躍動する組織を目指します。
神戸JCには、先輩諸兄姉が築き上げ、受け継がれてきた海外・国内の姉妹・友好JCとの交流の機会があります。本年はHJJCC(ハワイホノルル日系人青年商工会議所)友好50周年、横浜JC友好40周年という節目の年であり、私たちは永きにわたる素晴らしい友情に感謝し、次の世代へこの絆を紡いでいかなければなりません。交流の場を通じてその意義や地域固有の文化に触れることで、私たちが住み暮らす地域の特性を再認識し、理解を深めることができます。
日本中のメンバーが誇れる神戸大会の開催準備
2026年には、日本JCの全国大会が神戸の地で開催されます。神戸大会の開催は私たちに大きな発展と成長の機会をもたらします。開催前年となる本年は、主管LOMとして行政及び関係各所との連携体制を構築し、あらゆる環境を整備することが肝要です。メンバー全員で接遇力を高め、士気高揚して翌年へ臨める機運を醸成してまいります。
神戸大会の開催に際し、多大なるお力添えをいただく先輩諸兄姉の皆様のご尽力に感謝し、連携を強化します。そして、地区協議会・ブロック協議会・各LOMとの関係構築はもちろん、諸会議・大会への積極参加、多くの成長の機会を得る出向者の支援を行い、翌年への基盤を作る年とします。
最後に
“Captivate”
この言葉は 心を捉え、心を惹きつけ、心を奪うほどに魅了することを意味します。
私たちは、このまちにとってどんな存在でしょうか。
ポジティブな発想で 社会課題の解決に挑戦し まちをより良く変える
JCはその力をもたらす機会に溢れています。
私たちは、一人ひとりが人々の心を惹きつけるまちの創り手です。
たゆまず刷新し続ける行動力で、このまちの求心力を高めましょう。
関わる人すべてが誇りをもてるまちへ進化させ続けていく。
まっすぐに、凛として
世界に誇れる神戸へ