「神戸のまちを描くもの
意識を変えれば、未来が変わる。」
神戸を代表する会社「アシックス」。スポーツブランドとしての人気はもちろん、最近ではファッションブランドとしても世界的に人気が高まっています。今回アシックス代表取締役会長兼社長CEO尾山氏と「神戸のまちを描くもの」、「若者や青年経済人の意識を変えれば、未来が変わる」、「神戸のこれから」について語り合いました。
【若い力91号】理事長対談企画
株式会社アシックス 代表取締役会長兼社長CEO 尾山 基 × 神戸JC第59代理事長 南 嘉邦
南 2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて、ゴールドパートナー契約を締結されたということで、色々な想いがあると思いますので、そのあたりのお話を聞きながら、ブランディングについて、また神戸というまちに対しての想いをお聞かせいただければと思います。
まちに対しての想いというところですが、私のスローガンの中に、まちを描くとか、未来の子供たちに対しての想いというものがあるのですが、今、少子高齢化になっている中で、今後の神戸の将来についてのお話をいただきたいなと。また私たち、青年経済人ないしは、若手の経営者に対してのエールをいただければ。私の今年のスローガンに「意識を変えれば、未来は変わる」というものがあるのですが、若手の経営者の意識を少し変える一言をいただければ嬉しいなと思います。
尾山 はい。僕は1974年に日商岩井に入って、当時は芦屋の寮に住んでいました。バスケットボールをやっていて、その縁で甲南女子大学や甲南大学の方と知り合い、その中にJCの関係者も多くいたので、芦屋にいながらも神戸JCの動きはいろいろ教えてもらっていました。当時、携帯電話はないけど、神戸JCはクモの巣のネットワークがあって。いつ、誰が、どこにいるかすぐ分かるんですよね(笑)。あとは、やっぱり40歳で卒業するというのも面白いですね。
また、当社の創業者である鬼塚喜八郎が、JCは次の経済人の予備軍的という考えで、講演をやっていたり、JCの会合に出たりしていたのを見ていたので、やっぱりちょっと思うことはありますね。普通のサラリーマンをしているのと、JCで様々な方と活動することの違いは感じます。
南 昔、たまたま弊社ビルの下に、Onitsuka Tigerさんが、神戸の店舗を開いていただいていまして。
尾山 Onitsuka Tiger神戸の移転前の店舗ですね。
南 はい。
尾山 そうなんですね。オープンセレモニーには僕もいました。
南 セレモニーで鬼塚さんとお会いさせていただいて、お話を聞かせていただきました。また、平成12年ですかね、創業から50年のときに『経営指南』という本を書かれていて、その内容からもJCとの交流が本当にあったのだなと感じました。
尾山 若手経営者の会のように捉えていましたね。その鬼塚の考え方は正しいと思います。
南 私たちもJCは本当に参考になっていますね。自己成長する場所だと思っています。
尾山 例えば大企業に入っていて、1回、2回くらい大きな失敗をしたとしても、若いほど復活の余地はあるわけですよね。だけど自分で経営していると基本的にはそんなことはない。会社が潰れてしまうかもしれないという危機感がありますから。その真剣さをもっと社外の方と共有したほうがいいのではないかと思いますね。やはり代々受け継いだものが潰れてしまうかもしれないという状況において、どれだけチャレンジするかという真剣勝負の気持ちをお互い、表の面でもっと共有すべきだと感じます。
70年代、80年代の高度成長期には、若干のミスがあっても企業の業績は伸びていたと思いますが、92、3年くらいからなかなかそうはいかなくなり、親の代よりも会社のかじ取りがより難しくなってきたのではないでしょうか。僕はアシックスで革靴の事業を何年か担当していたので、神戸の靴関係の方にも知り合いは多いですが、昔より厳しいようです。その経営の厳しさを共有して、何かのノウハウを共有するということをJCの意義としてもっと強く前面に出した方がいいと思いますね。
それから、大企業も色々なところに進出していますから、そういう時代であることを皆さんが認識し、それぞれの規模で、業種で、どう生き残っていくか、発展していくかということを考えたほうがいいと思いますね。小売などは特にそうです。
東京よりも神戸にいるほうが逆にビジネスチャンスはあるような気がします。
南 どういうところでそのように感じられますか?
尾山 僕は金沢、大阪、ドイツ、東京などで暮らしたあと、アシックスに入社して神戸に来ました。生活も含めて東京と関西を行き来していると、東京で何かやるよりも神戸のほうがビジネスチャンスはあるような気がします。東京で起業するとなると、粗利益がかなり高くなければ、何をやるにしても難しいところはありますが、総合コストはこちらの方が安く済みます。
南 家賃や人件費も安く済みますしね。
尾山 そうですね。大前提として、神戸は少子化とともに人口減少していくと言われていますが、僕は全く反対の発想をしているんです。
何が言いたいかといいますと、これは船井総研の創業者・船井幸雄さんの持論ですが、交通の便が良くなればなるほど一番便利なところに人は集まると。すなわち、たとえば九州新幹線ができると、博多は人口がプラスになりますがおそらくその周りはマイナスになります。その原理でいくと、神戸はロケーションがいいんですよね。ですが地域によっては高齢者の街になってしまっています。そこで、単純な話ではありますが、交通の便をさらに良くして人を集めればいいんですよね。
あとは、僕は芦屋にいたから分かるんですけど、大阪に行くと全然ロケーションが違うんですよね。神戸はJR、阪急、阪神の3路線があるというのも非常に強みになっています。近隣の他府県から人を呼べる力がありますし、神戸市全体としては、僕はまだ人口を増やせると思っています。手を打っていないだけです。
実際、一人で田舎に住むのは本当に苦しいんですよね。車の運転ができなくなると買い物にも行けず、病気になったときでも救急車がすぐに来られないということになります。だから集まったほうがいいんですよね。
東京の人口は近年も増加傾向にあり、2025年くらいまでは増加を続けると予想されています。ただ問題点は高齢化です。2015年の東京の高齢化率は22.7%ですが、2030年には24.3%と、約4人に1人が65歳以上の高齢者となる見込みです。若い世代を中心に東京への転入が続いているため、東京の高齢化率は全国平均より低い水準にありますが、それでも今後急激な高齢化が予想されている。そういった中で、人口が減少傾向にある神戸は、より危機感をもって手を打たなければならない。
南 たしかに若手が減ってくるイメージがどうしても私たちにもありますね。
尾山 神戸では、人口が、特に若い方が減ってきますよね。
南 人口の特に若い方が減ってくる、その中で今後街の発展をどのようにしていくかということですね。
尾山 ですから、兵庫県内から集めるといいと思うんです。その為には、お年寄りが住みやすい街にする必要があります。すなわち、通院や買い物が楽になって、グラウンドゴルフなどを活用して地域のコミュニティの場を設けるということに意図的にトライしてみてもいいと思うんですよね。
あと全国から人を集めるには、やっぱり良質な住環境、生活基盤が必要になってきますよね。ウォーターフロントの整備や、三宮の緑化なども考えられます。もっと大々的に行えば、広く発信できると思います。あとは仕事ですよね。この仕事の部分が足りないと思います。
昔は、神戸に行けば洋風な雰囲気が味わえると言われていて、それが神戸の売りでもありました。だけど今は本当に洋風なものを感じたかったらパリでもロンドンでも行きますよね。それが売り物にならなくなってきている。
南 私もザ・神戸というイメージをもうそこで完結できるようなところが欲しいと思いますね。
あと、どうしてもお聞きしておかないといけないのは、やはり2020年に東京オリンピック・パラリンピックがあるということです。そのような中で、アシックスという会社をインターナショナルカンパニーとしてを浸透させるためのブランディングの部分で苦労している部分はありますか。
また、多くの選手が御社の靴をはいてメダルに貢献してきたお話を少しお聞かせいただければと思います。
尾山 当社の日本での業績は、80年代までは良かったんですよね。ジョギングシューズが街履きとして売れており、ジャージが流行していたという背景があったと思います。ところが、90年代に入って経済が停滞し始め、ナイキなどの外資系ブランドが入ってきたときにうまく環境に適応できなかった。ナイキなどがカジュアル路線の商品を出す中、当社はより体育専門、スポーツ専門的な商品を出していました。
その結果、日本では売上も伸び悩み、学校体育向けのブランドで、ナイキなど外資系ブランドに比べてダサいというイメージをずっと引きずってしまうことになりました。海外では良い商品を作るブランドとして認知されているので、本拠地である日本のほうが、残念ながらブランドイメージが良くないんです。
東京2020ゴールドパートナーの契約は、このイメージを一気に刷新するための投資でもあります。
南 おそらく会社の売上においても、今、国内の売上と海外の売上の比率を考えると、やはり海外の売上のほうが大きな数字になられていると思うのですが、今回の2020年の東京オリンピック・パラリンピックに関しては、国内においての会社のイメージを変えることを考えているのですね。
尾山 国内への影響が大きいですが、海外に向けても効果があると思っています。たとえば東京マラソンでは、参加者のうち6500人くらいが外国人なんですけど、その半分程度が中国・台湾・香港の方なんですよね。近年、東南アジアからの観光客も増えていますし、ハラルフードなどイスラム圏の方々を受け入れる環境も整ってきているので、海外からの観光客はもっと増えると思います。だから、近隣のアジアの方々に対する影響はかなり強いと思いますね。もともとヨーロッパのフランス、オランダなどの代表チームもサポートしています。オリンピック・パラリンピックを観に日本に来た人たちとそのファミリーは、アシックスブランドの存在感を感じると思います。
そういった意味でも神戸マラソンの外国人参加率が大阪マラソンよりずっと少ないのは残念なことですよね。京都マラソンも結構多いですし、東京マラソンは意図的にどんどん増やしていったんですよ。参加者の中にはアメリカやイギリスの国籍の方もいますが、個人的には日本に住んでいる方が多いのではないかなと思っています。ただこの数年、ヨーロッパなどの各国から、わざわざ東京マラソンを走るために来ている方も増えている印象ですね。ニューヨークシティマラソンみたいに、1万5千人くらいまで外国人ランナーの枠を増やしてもいいと思います。
南 神戸マラソンで考えると、マラソンを輸入した最初の土地が神戸であって、国内で第1回目のマラソン大会が開催されたのが神戸だったといわれてますね。
尾山 そう、そういうことが全然出てこないよね。
南 どこか今の神戸マラソンというのは、他の都市のマラソンを輸入している感じがあります。オリジナリティの部分で、本来だったら一番格調の高いマラソン大会ができるんじゃないかなという意見はありますよね。
尾山 それは正しいと思います。東京マラソンの場合は、石原慎太郎元都知事が“大東京マラソン”でやると言っていました。この日だけはマラソンを核としたお祭りにするというのがコンセプトで、東京の名所を全部走れるように交通規制も大規模にしている。おもしろいじゃないですか。だから神戸マラソンも、もっと神戸の一大イベントだというふうにできればいいと思います。
南 分かりやすいコンセプトを作った方がいいですよね。
尾山 そう、JCからも言ってほしい。ちょうどいま、ウォーターフロントを整備するというお話も出ていますし、三宮の南側もだいぶ変わりますよね。
南 なんとなく駅前の開発、ウォーターフロントの開発、またこのポートアイランド開発等々あると思うんですが、変えようとしているときに私たちがちょっと後ろ向きという感じがします。
尾山 そうそう。震災のあとこれだけ復興してきたわけですから、もうちょっと前向きに「日本で初めてのことやろうよ」みたいなのがあってもいいですよね。
南 若者というか、私たちも含めてどうせ変えるんだったら前向きに変えていくポジティブな意識変化が必要ですね。
尾山 それが神戸らしい。
南 積極的な挑戦を、自分たちの会社や日々の生活でチャレンジをしてほしい、行動に移さないことには何も変わらないわけで、現状維持ではあまり良くないというお話ですね。エールをいただいた気がしました。
尾山 昔はほとんどの会社に物語があって、例えば鈴木商店にしても、兼松にしても様々な挑戦がありましたよね。時代背景は違うと言えども、そういうスピリットがあったんじゃないかと思う。それぞれの会社が挑戦をするには、県や市のサポートも必要ですよね。神戸市が国の特区になっているんだから、どういうサポートができるのかをあらためて明確にしたほうがいい。そのサポートを上手く使えるんだったら起業した方がいいですよ。福岡市はベンチャー企業の支援に積極的ですが、高島宗一郎市長からもその姿勢を強く感じました。
南 そうですね。私たちも待っているような部分があると思うので、積極的に地域に対して変化を求める、そういった姿勢を打ち出していく若手が増えれば、神戸が働きやすく住みやすい街になると思います。そういった場所にこそ、いろいろな地域から人が集まって、先ほどお話にあったように、神戸市の人口減少にならない、変えられるという部分につながっていくと思います。
尾山 人口が減少になるということは、働く人も減ってきますよね。そうすると、住民税と所得税の税収が減ってくる。税収が減ることを前提にしているから、挑戦的な施策が打てない。人口を増やすためにはどうしたらいいかと考えると、企業でも一般の人でも投資はもっとできると思うんですよね。そこへの配慮が、県も市も少し足りないんじゃないかなと。
南 攻めるならばもっと積極的に攻める、そうするためにも私たちの、地域に求めることや、行政に求めることを積極的に表し、行政にコミットしないといけないと思います。
尾山 だから高槻や茨木に住んで大阪市内に働きに行っている人を神戸まで引っ張ってこられたらいいと思う。今、高槻や茨木は結構ブームだけど、神戸も住環境的はいい。あとは、必要になるのは空港ですよね。
南 今こそ、この神戸空港を、3空港一体運営の計画に向けて動いていかなければいけないと思います。
尾山 絶対にやるべきですね。近年状況としてはとてもいいんですよね。去年は2400万人の外国人観光客が日本にやってきていて、そのうち609万人が関西国際空港から入国している。それでもう関空は満杯なんですよね。伊丹は住宅地に近いので色々大変です。
でも神戸の周りは海だし、当社はポートアイランドに本社がありますが、飛行機の音も全然聞こえない。さらには滑走路を1本増やせる余地もあるわけです。交通の便が活性化すると、神戸に泊まらずに通り過ぎてしまう人も増えるので、そこで一泊してもらうことが大切です。神戸は大阪よりも静かですし、宿泊客を増やせる可能性は充分にあります。
今は触っていないだけで、将来に向けていい絵を描けるような気がするんですよ。それが今後の僕たちの課題だと思うんですよね。
南 そうですね。また、女性が活躍できる会社にすることや、従業員の皆さまに積極的にみんなが会社を背負っているというイメージを持ってもらうために苦労されている点とか、工夫されている点などありますか?
尾山 今後積極的にやっていきたいのは、管理職に占める女性比率を3分の1、すなわち33.3%にすることです。今それを目標に動いているんですが、現在やっと10%台まで上がってきました。しっかりとキャリアを積んだ女性が課長以上の役職に占める割合が30%以上になると、カルチャーが変わると言われています。当社はもともと体育会系の社員が多く、上下関係が厳しい社風でしたが、今の時代には合わないですよね。それぞれが自律的に働くことが必要です。働き方改革と女性活躍ってリンクしているんです。
実は神戸というのは、女性経営者が少ないんですよね。同友会や商工会議所に所属している女性経営者比率が、神戸では5%、東京では8%です。このように神戸は女性活躍の風潮が弱いので、なんとか意識を変えて女性管理職を増やしていきたいですね。
神戸は絶対住みやすいんですよね。僕も京都、大阪、東京と色々なところに住みましたが、通勤から何からすべてのインフラを考えると神戸のほうが住みやすい。コーヒー一杯でも安い。東京で仕事するにも、住まなくてもここから出張すればいい。そういう考え方で、当社では働き方を自ら変えていこうとしている。それは、男性だけではできないし、女性だけでもできない。それぞれが働き方を変革し、ダイバーシティがより進めば、アシックスはもっと違った会社になる。
現在は、グローバル統一の人事システムを採用しています。年功序列の考え方は一切ありません。新卒で入社しても頑張ったら4年でマネジャーになれて、7年で部長になれるようなシステムです。このように、会社の制度も変えましたので、頑張る社員にはそれに見合ったポジションをと考えています。そして、ポジションがあるということはイコール収入がいいという、非常にシンプルな構造にしているんです。
南 たしかに、ルールを明確にすると、女性はそこに対してクリアしてきますね。
尾山 問題なのは、女性社員の意識ですね。関西でも東京でも同じですが、部長のようなポジションで80人の部下を指揮できないっていう、自分に対する呪縛がありますよね。上の立場にいけばいくほど責任も重くなるので、アシスタントレベルでいいと考えてしまう。これは日本特有の考え方ではないかと思います。だから早めに意識改革をする必要があります。まさにそれはJCなり同友会なりの使命だと思うんですが、男女関係なく経営者になるという意識を早くから持つということ。ずっといちサラリーマンだと考えているから、リスクはとらないというマイナス方向に意識が働いていると思うんです。男女関係なく活躍できるインフラを整えることが働き方改革の目的の一つであって、それを通じて社員の意識を変えなくてはいけない。
あと、ダイバーシティは本来女性活躍だけを意味するわけではない。外国人社員の活躍も大切ですよね。アシックスの神戸本社には現在40人以上の外国人がいますが、日本人社員と英語でコミュニケーションをとっています。
南 スポーツに国境がないのと同じで、会社の中にもそういった、男性、女性、外国人、日本人という区別は必要ないのかもしれませんね。
では、これで最後なのですが、先ほど東京オリンピック・パラリンピックのゴールドパートナーとして、国内におけるブランドイメージを変化させたいというお話がありましたが、そのあたりはいかがでしょうか。
また、東京オリンピック・パラリンピックのゴールドパートナー契約を締結され、スポンサーとなった理由についてもお聞かせいただければと思います。
尾山 まず、オリンピック・パラリンピックとスポーツ用品メーカーがどういう関係にあるのかを改めて考えました。鬼塚は、創業からわずか11年後の1960年にはすでにローマオリンピックに視察に行っているんですよね。非常に海外のスポーツ市場、特にオリンピックに興味があったんです。それで実際に行ってみて、世界レベルの競争を直に見て、そこで勝てる商品を作ろうと考えたんです。イノベーションのきっかけがオリンピックだったんですよ。ずっと歴史的に。
それで当社も、スポンサーになろうがなるまいが、オリンピックを目標に新しい素材や機能を研究してイノベイティブな商品を生み出すということをずっと続けてきました。そういう意味でオリンピックには深く関わってきたんですよね。次に、やはり東京で開催されるので、1億2千万人の日本人に対して新たなブランドイメージをお見せして、先ほど言ったような若干ネガティブなイメージを変えるきっかけにできるんじゃないかと思ったんです。あとは、従業員のモチベーションを上げること。
ゴールドパートナー契約を締結したことを、担当する部署のメンバーが北海道から九州まですべての事業所に説明しに行ったんですが、90%くらいが感動したと言うんだよね。従業員が自分のブランドにプライドを持てますよね。
南 たしかにそうですね。
尾山 ブランドイメージを変えるためにも、これからは技術的なイノベーションのみならず、今の時代を先取りして、新しい消費者にもアプローチしていきます。ターゲットは世界的にミレニアルズと呼ばれている世代で、10代後半から20代の新しい感性をもった若者。50代60代から見たら「えっ」と思うようなものも出てくるかもしれませんけど。スポーツをするときだけではなく、ストリートでも履けるような商品も出しています。
とはいえ、やはり有名選手がアシックスブランドのシューズを履いているというのは重要ですよね。やはり日本人にとっては、日本の選手が活躍するというのは、非常に感動を呼びますから。
南 国を代表した選手たちの足元には御社の精神があると思います。それはやはり働いている従業員の皆さまのプライドや誇りになっているんじゃないかなと思います。
尾山 そうなんです。「あなたが働いている会社、すごいね」ってみんな社外で同級生とか、先輩、後輩から言われているはずだから。それはプライドになると思う。あとは、良い商品とそれを伝えるマーケテイングをきちんとやれば、もっと良い方向にいくと思っています。
日本人だけのために日本で仕事をしている会社ではないんですよね。商品は、日本人のためだけではなくて、全世界の人のために作っています。常に世界に向けてということを意識していますね。会社があるのが神戸だというだけで。
南 本日は本当にお忙しい中ありがとうございました。